顧問先が無申告であった場合の責任

本日は、いま世間を騒がせている無申告について、顧問税理士の立場から考えてみたいと思います。

まずは、顧問先が無申告であった場合に税理士に生じる可能性のあるリスクについては、以下の2つの視点から検討が必要と思います。(なお、あくまで私見であることを申し伝えさせて頂きます。)

①税理士法により税理士自身が罰せられないか

②顧問先から、契約不履行により訴えられないか

まず最初に気にしなければならないのは、

①税理士法により税理士自身が罰せられないか、

即ち、資格停止等により税理士業を廃業に追い込まれないか、という点です。

一般的に、依頼主から依頼に基づき申告に関する委任契約がある場合には、税理士に対して期限内申告を行う注意義務が生じるものと思います。しかし、顧問税理士が無申告を推奨したのであれば問題外ですが、散々催促したのにもかかわらず、顧問先が資料を提供しないなどの理由で申告ができなかった場合に、顧問税理士としての注意責任を問われて懲戒処分を受けるのは少し酷な気がします。そのため、自分の身を守るためにも、想定したスケジュールで作業が行えない場合や、明らかに顧問先に問題がある場合には、この委任契約を破棄できるような条項を入れていかなければならないのだと思います。

今回のニュースの件は、心情的には顧問税理士なにしてたんだ、という気持ちにもなりますが、一方でこれを顧問税理士のせいにされてもたまったもんじゃないなあ、と思ってしまうのが本音です。

話をもとに戻しまして、次に気をつけなければならないのは、

②顧問先から、契約不履行により訴えられないか、です。

申告期限を経過し、いわゆる無申告となった場合には、無申告加算税、延滞税等が納税者に課せられます。申告納付をしなかった納税者が悪いのは当たり前ですが、前段で記載のとおり、税理士には注意義務があるため、納税者へペナルティが課せられることを明確に伝えていなかった場合には、納税者から税理士が損害賠償請求を受けてしまうことも考えられます。(同じケースではないものの、重加算税等の可能性を説明しなかったが故に損害賠償請求され、裁判でも税理士側が敗訴した事例もあるようです。前橋地裁平成14年12月6日判決)

今回のニュースで納税者が税理士を訴えることはないかと思いますが、税理士側が説明責任を果たしていることをメール、書面などで日付を明らかにしたうえで客観的証拠を1つでも残しておくことが必要なのだと考えます。

本件のニュースは、税理士として人ごとではなく、明日は我が身であると思います。これから開業するうえで、資格剥奪となるような事件を起こしたり、多額の損害賠償請求を受けた場合には一発アウトとなりますので、このようなリスクを肝に銘じながら、開業準備を進めていきたいと思います。

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