開業準備中に考えておくこと⑤国民年金・健康保険料をどうするか

サラリーマンを退職して個人事業主として独立開業する場合には、会社員時代に加入していた厚生年金及び健康保険組合から脱退(資格喪失)し、原則として個人として国民年金及び国民健康保険に加入することとなります。

会社を設立して厚生年金に加入するという選択肢がないわけではありませんが、開業し軌道に乗るまでは個人事業主を選択される方も多いかと思います。この場合、国民年金については選択の余地はなく、月額16,4エ0円(付加保険料除く)となりますが、健康保険についてはいくつか選択肢が考えられます。以下にその選択肢ごとにメリット、デメリットを検討していきたいと思います。

健康保険任意継続制度 VS 国民健康保険

退職により会社員時代の健康保険について被保険者の資格を喪失した場合には、本人の希望により、原則2年間、元々加入していた健康保険への加入を継続できる制度があります。

この場合の保険料は退職時の標準月額報酬に基づき決定され、原則2年間固定となります。

独立開業後は一時的に無収入となるため、退職時の標準月額報酬を使用されるのは一見不利なように思われますが、この任意継続時の標準月額報酬には上限が定められています(一般的には30万円ですが、私が勤務している法人が加入している健康保険組合では、58万円が上限として設定されているようです)。

一方、国民健康保険料は(支払い能力がないなどの減免が認めれない限り、)原則として前年度の所得を基準に上限なしで課されることとなります。(料率は市町村により異なります)

そのため、在職勤務中にこの上限を超えて保険料を納付していた方は、任意継続を適用した方が、上限に引っかかるため、国民健康保険を選択するよりも安くなるケースがあります。

ただし、この制度は2年間加入となるため、1年目がほぼ所得が出ない場合であっても、2年目も退職時の標準月額報酬を基準とされるため、2年間をトータルで考えた場合には、(1年目の所得で2年目の保険料が算定される)国民年金健康保険料の方が安くなる可能性があります。

独立後すぐに軌道に乗らないことを想定するのも酷ですが、事業計画を精査しつつ、どちらの方が有利となるかの検討が必要となります。

もう一つの選択肢:配偶者等の扶養に入る

できれば想定したくない内容となりますが、その年の所得が130万円未満である場合で、配偶者自身が厚生年金に加入している場合には、配偶者の扶養に入ることができます。保険料だけを考えるのであれば、これを選択できるのであれば、個人としての国民年金及び国民健康保険の納付が(第3号被保険者として)不要となるため、一番メリットが大きい選択肢であると考えられます。

まとめ

何度も同じ表現となりますが、独立開業初年度に130万円の所得もでない(稼げない)ことを想定するかどうか、という点はとても悩ましい点かと思います。

税理士業ではなく独立開業時にイニシャルコストを相当程度要するため、設立間際は赤字が予定されるような業種であれば、この選択肢は絶対に視野に入れるべきです。

しかし、特段のイニシャルコストを要しない税理士業においては、初年度が赤字であるということは、単純に集客できず、売上が立たないことを想定しているということです。逆に言えば、仮に集客ができていたとしても、この所得に収まるように、収入を調整しなければいけなくなるという逆進性が働く点が大きなデメリットかと思います。(任意継続は退職直後以外では選択することができないため)

正直なところ、開業初年度から順調に売り上げを増やしていくことができるかどうかは不安な点が多々ありますが、この逆進性により仕事が想定以上にうまくいった場合にブレーキをかけてしまうことが一番のデメリットであると考えられますので、当初1年間の事業計画を精査しながら、慎重な判断が必要となるものと思います。

いまのところ、私は初年度は130万円は超えるものの、会社員時代の年収には届かないであろうことを想定し、国民健康保険への加入を前提に検討しています。

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