税理士業の入口戦略と出口戦略について

税理士業は、原則的には(月額もしくは年額の)顧問報酬を収受でき、いわゆるサブスクリプション方式(定額課金)のビジネスモデルとなります。昨今では税理士の交代も珍しいものではありませんが、それでもしっかりと信頼関係を築いていければ、そう簡単に解約されるものではなく、一定量の顧問先さえ確保できれば、(利益がでるかは検討の余地がありますが)収入という意味では安定してくるものと思います。そのため、税理士業を軌道に乗せるには、いかにこの定額課金型の月額顧問報酬を効率的に増やしていけるかが「出口戦略」であると私は考えています。

この顧問報酬の獲得という「出口戦略」につなげるために、対象顧客の集客のための「入口戦略」が必要となります。具体的には、これから起業する税理士のついていない新規顧客をいかに囲い込めるか、若しくは、すでに設立し顧問税理士のついている既存顧客から税理士交代を喚起することができるか、が入口戦略の肝かと考えています。

現在、検討している入口戦略(メニュープラン)は以下です。

クラウド会計導入支援

やはり、メインにしていきたいのはこのメニュープランです。現在会計システム利用者に占めるクラウド会計ソフトの割合は15%程度であり、まだまだ浸透の余地はあります。クラウド会計ソフトが業界の主流になるのは時間の問題と思いますので、この切り口は間違いなく必要と思っています。

ただし、すでにこのメニュープランは先行者が多くいるため、価格なのか、またはこれにプラスする付加価値が必要になってくるかと思います。

付加価値としては、銀行口座の選び方、クレジットカードの選び方、初期登録等のマニュアル化したものを配布する特典を設けたり、API連携が可能な他のクラウドシステム(freeeのアプリストアなど)の連携紹介業務を行うことなどを想定しています。連携ソフト会社から紹介手数料とる、ないしはIT補助金と絡めて手数料が取れるとなおいいと考えています。

融資支援

こちらも定番のメニュープランとなりますが、日本政策金融公庫その他の金融機関と顧問先をつなぐ、融資支援です。大きなノウハウが必要な業務ではありませんが、金融機関との人脈の構築や、融資制度の知見の深さ(助成制度や融資のボーダーラインなど)が肝かと思います。また、飲食店業や製造業など、設立当初から設備投資の負担の大きい業種については、事業が軌道に乗るまでの間、リスケ支援なども効果的と思います。しかし、ここで気を付けなければならないのは、金融機関との金銭消費貸借契約の代理交渉業務は弁護士業務となる可能性があるため、あくまで顧問先への助言業務等に留めておく必要があるものと思います。

研究開発・ソフトウェア関連税制コンサル

本当は「連結納税コンサル」と記載したかったのですが、次に考えているのがこの制度です。法人税制のうち難易度の高い優遇税制としては、最初に上がるのが研究開発税制ではないでしょうか。わたしは法人税に関わる業務を10年以上続けていますが、この税制が得意な税理士に出会ったことはありません。(書籍を出版されている成松先生等の著名人は除きます)わたしは製造業や製薬業、ソフトウェア業のお客様を担当することが多かったため、(そもそもの出身事業会社も製造業であったため)、この分野については他の税理士よりも若干のインセンティブがあります。そもそも赤字会社が6割超である中小企業で、所得が出ないと適用できない優遇税制にどこまでニーズがあるか、は悩ましいところではありますが、資源に限りのある日本経済の発展のために政府が力を入れている分野であり、今後も制度の拡張が想定されます。この分野のスペシャリストとなり、周辺知識となるソフトウェア優遇税制や、研究開発税制の適用の肝となる管理会計・原価計算に係る制度設計のコンサルなどと絡めていければ、面白い切り口となるのではないかと考えています。

最後に

以上が、現在考えている入口戦略に係るメニュープランです。早いものでもう11月も中旬で、新年度の税制改正案も大詰めを迎えてきているところかと思います。個人的には、電子帳簿保存法の改正、連結納税制度の抜本的改革がとても気になっています。これらの改正が新たなビジネスチャンスを創出し、新規開業税理士に追い風が吹くことを切に願っています。

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